あなたは今中古車屋を始めようと考えている。あるいは、板金や解体業を開業しようとしているのかもしれません。
このページをご覧になられているということはご存じだと思いますが、自動車を解体する為には管轄の自治体から自動車解体業の許可を取得する必要があります。
自動車を解体するとフロンガスやエアバックなどの、処理に専門の知識が必要となる為、自動車リサイクル法において許可や登録が必要とされています。
自動車リサイクル法の全体像については、下記リンクをご覧ください。
このページでは、皆さんが気になっている《自動車解体業の許可要件》について、徹底的に解説します。
重要なポイントに絞ってお伝えさせていただきますので、最後までお読みください。
自動車解体業の許可要件

ではまずは根拠法令を見てみましょう。
自動車リサイクル法における規定(法第62条)
その事業の用に供する施設及び解体業許可申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして主務省令で定める基準に適合するものであること。
解体業許可申請者が次のいずれにも該当しないこと(略 欠格事由)
上記の様に、自動車リサイクル法では解体業者に3つの要件を求めています。
①施設
②能力
③欠格事由に該当しないこと
それでは順に確認していきましょう。
自動車解体業の施設要件
騒音・異臭問題や、危険物を取り扱う解体事業の施設は、周囲の住環境にも影響を及ぼす恐れがある為、厳格に定められています。
①使用済自動車を解体するまでの間保管するための施設
・解体作業場以外に使用済み自動車の保管場所を置く場合には、外部からの人の侵入を防止することができる囲いが周囲に設けられ、かつ保管区域が明確にされた場所としなければなりません。
外部からの侵入を防止する趣旨ですので、出入り口に施錠が必要となりますし、容易に乗り越えられる囲いはNGです。
※中古車販売・買取店や整備・板金業など、使用済み自動車が入ってきた都度解体する場合には、解体作業場と別に保管場所を設置する必要はありません。
・廃油、廃液の地下浸透を防止するため、床面は鉄筋コンクリート で舗装され又はこれと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。 廃油の外部への流出を防止するため、油水分離装置及びこれに接続された排水溝が設けられていること。
使用済み自動車は、廃油などが漏れている可能性もありますよね?
もし漏れている場合に、外部への流出を防ぐことが目的です。
②燃料抜取場所
・上記の保管施設と同様、床面は鉄筋コンクリートで舗装又はこれと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。
・燃料の外部への流出を防止するため、ため枡又はこれと同等以上 の効果を有する装置及びこれらに接続された排水溝が設けられていること。
①・②の施設は、小規模事業者で都度解体する場合には、解体作業場と兼ねることができます。
③解体作業場
・使用済自動車から廃油を適正に抜き取ることができる装置を有すること
・床面は鉄筋コンクリー トで舗装され又はこれと同等以上の効果を有する措置が講じられ ていること
・油水分離装置及びこれに接続された排水溝が設けられていること
・雨水にともなって廃油が流出しないよう屋根や雨水が床面にかからないようにするための設備を有すること
標準作業書にて、廃油の抜取方法や、外部流出防止措置が明らかにされていれば、装置の設置は無くても大丈夫ですので、事業規模や作業方法をしっかりと検討しましょう。
※床面を鉄筋コンクリートで舗装するのと同等の措置とは、無筋コンクリートの上に鉄板を敷くなどで代用可。
④取り外した部品や解体自動車を保管するための設備
廃油、廃液の地下浸透を防止するため、底面は鉄筋コンクリート で舗装され又はこれと同等以上の効果を有する措置が講じられていること。 雨水にともなって廃油、廃液が流出することのないよう、屋根や囲い等の設備を有すること。
施設要件まとめ
ながながと書きましたが、求められている施設要件を簡単にまとめると、、、
①囲い・屋根のある施設
②油水分離槽付きの排水溝
③鉄筋コンクリート又は同等の床
この3つを押さえておけばいいでしょう。
自動車解体業の能力要件

自動車解体業の許可要件には、事業を適切に行う能力があることを担保する為、2つの要件が定められています。
①標準作業書を常備し、従事者に周知していること。
標準作業所は、工場の見取り図や運搬や保管の方法、管理や作業の内容・保守や火災予防の方法などをまとめたルールブックの様なものです。
新規の許可申請時にも必要となりますし、しっかりとしたものを作成しましょう。
作業方法や防止措置などが明確に記されていれば、高額な設備をそろえる必要もなくなる場合もありますので、記載方法を管轄の自治体にしっかりと確認することが大切です。
大阪府標準作業書記載例
※大阪府、解体業の手引きより引用
②事業計画書又は収支見積書から見て使用済自動車の解体業を継続できないことが明らかでないこと。
事業計画書は、使用済自動車の引取り及び解体台数、解体自 動車の引渡台数、保管量等も記述する必要があり、申請人の資金や処理能力に見合わない事業計画であれば、さすがにお役所も許可をだすわけにはいきません。
欠格事由に該当しないこと
自動車解体業の許可を取るには欠格事由に該当していないかどうかが重要です。
細かいことを言うと色々ありますが、簡単にポイントを押さえておきましょう。
成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
犯罪を犯してから5年を経過しない者
解体業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
現役暴力団員又は足を洗って5年を経過しない者
重要なポイントは役員全員が上記に該当しないことです。
まとめ
いかがでしょうか?
解体業の許可要件について理解できましたでしょうか?
自動車解体業の許可は、専門としている行政書士の先生も少なく、どこに相談したらいいのかわからないという方も多いでしょう。
当事務所では、関西地方以外でも対応致しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
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