あなたがこのサイトに辿り着いたということは、貨物利用運送事業について知りたいことがあるのではないでしょうか?
運送業を営んでいて、貨物利用運送の登録をする必要があるのか知りたい。
あるいは、これから独立して利用運送会社を立ち上げたいので調べているのかもしれません。
上記に当てはまる方は、この記事をお読みください。
最後まで読んでいただければ、貨物利用運送事業とはなにか?登録に必要な手続きや要件。または、あなたの会社に利用貨物運送の登録が必要なのかどうかを理解することができます。
長い文章にはなりますが、5分ほどで読めるようにまとめましたので、最後までお付き合いください。
コンテンツ
貨物利用運送事業とは?|水屋ってなんなの?
貨物利用運送事業とは、自社ではトラックを保有せずに、実運送業者へ外注する形式です。
簡単に言えば、営業代行みたいなものですね。
運送業界では『水屋』と呼ぶ方がなじみ深いです。
例えば、A社は東京で荷物を降ろして、九州へ帰ります。
そうすると、東京から九州へ同じ距離を走行するのに、荷物がないともったいないですよね。
そこで、水屋さんの出番です。
荷物を九州へ配達してほしい事業者さんと、空いてるトラックにどうせなら荷物を積んで帰りたい運送業者さんを繋げるお仕事・・・それが、貨物利用運送事業(水屋さん)です。
電話一個あれば商売ができるので、初期費用も掛からず、顔の広さと営業力があれば起業できます。
この事業を専門でやっているのが『専業水屋』です。
また、多いパターンとしては、一般貨物運送事業の会社が貨物利用運送の登録をすることも多いです。
例えば、自社のトラックだけでは、対応しきれなくなると、他の運送業者さんの手を借りることもありますよね。
そういった時に、他社へ運送を依頼する場合、貨物利用運送の登録が必要となります。
そして、貨物利用運送は『第一種貨物利用運送事業』と『第二種貨物利用運送事業』に分かれます。
第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業の違い
では、第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業の違いはなんなのでしょうか?
簡単に言うと、第一種貨物利用運送は流通の一部のみ、第二種貨物利用運送事業は流通の全てを手配する事業となります。
例えば、AからBまで荷物を運ぶ場合
AからトラックでC港まで運び、船でD港まで運ぶ。
D港から目的地Bまでトラックで運送するとします。
上記の場合、トラックと船の両方の手配が必要となりますよね?
第二種貨物利用運送事業は、AからBまでの全ての輸送手配を行います。
第一種貨物利用運送事業は、AからC港までのトラック輸送のみを手配します。
例えば、AからBまでトラックで輸送する場合は、第一種貨物利用運送事業の登録で構いません。
他の輸送手段が絡みませんので。
そして、第一種貨物利用運送事業は登録制。第二種貨物利用運送事業は許可制となります。
この記事を読まれている方は、ほとんどが第一種貨物利用運送事業について知りたいと思いますので、ここからは第一種貨物利用運送事業について詳しく見ていきましょう。
第一種貨物利用運送事業とは?
7:この法律において「第一種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、利用運送を行う事業であって、第二種貨物利用運送事業以外のものをいう。
第一種貨物利用運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければならない。
上記のように、第二種貨物利用運送事業以外に、他人の物を、有償で、実運送業者に依頼して利益を得る場合には『第一種貨物利用運送事業の登録』が必要となります。
依頼先への運送の全責任は、利用運送事業者が負いますのでよく覚えておいてください。
それでは、登録に必要な要件を確認してみましょう。
第一種貨物利用運送事業の登録に必要な3つの要件
①営業所の要件
前述の通り、貨物利用運送事業はトラックを所持する必要がありませんし、極端な話、人脈と携帯電話さえあれば仕事はできます。
なので、営業所を設ける必要はありますが、面積や設備の要件はありません。
注意すべきことは2点。
①使用権原があること
自己所有の物件であれば問題ありませんが、賃貸の場合は契約書に事務所利用可能と記載してあるのかを確認しましょう。大家さんが事務所として利用されるのを認めていないケースもありますので要確認です。
②都市計画法などの関係法令の規定に抵触しないこと。
例えば、市街化調整区域であれば貨物利用運送事業の営業所はおけません。
前もって確認しておく必要があります。
資金要件
登録の要件として、純資産300万円以上の所有が求められています。
個人であれば預金などの資産調書で、法人の場合は直近決算書の賃貸借照表純資産の部の合計額で示さなければなりません。300万円に満たない場合には、貨物利用運送事業の登録はできませんので増資が必要です。
人の要件
貨物利用運送事業法第38条
一 一年以上の懲役又は禁錮の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
二 第一種貨物利用運送事業の登録若しくは第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種類の登録若しくは許可(当該登録又は許可に類する免許その他の行政処分を含む。)の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
三 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
四 法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの
五 第六条第一項第六号又は第七号に掲げる者のいずれかに該当する者
六 国際貨物運送に係る第一種貨物利用運送事業の分野における公正な事業活動の確保を図るために登録を拒否することが適切であると認められる事由として国土交通省令で定めるものに該当する者
簡単に言うと、悪いことして懲役や禁固の刑の執行が終わってから2年経過してなければダメ。
貨物利用運送事業の取消を受けてから2年経過してなきゃダメ。
法人の場合は役員全員が上記に該当しないこと。
こんな感じです。
もし、自分が該当しているのか心配な場合はお気軽にお問い合わせください。
無許可営業の場合の罰則
もちろんめんどくさいからといって、登録なしで営業をすると罰則があります。
第六十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
結構重い罰ですね。
上記に加えて、二年間は新たに登録をすることもできませんので要注意です。
第一種貨物利用運送事業の登録に必要な書類
第一種貨物利用運送事業を営むには、管轄の運輸支局に申請が必要となります。
必要書類を確認していきましょう。
② 事業計画書
③貨物利用運送事業者と運送事業者との運送に関する契約書の写し
④貨物利用運送事業用施設に関する書類(営業所および貨物の保管体制を必要とする場合にあっては保管施設に関する書類)
⑤都市計画法関係法令に抵触しないことの書面(宣誓書)
⑥施設の使用権原を証する書面(宣誓書)
⑦貨物利用運送事業法第6条第1項第1号から第5号までのいずれにも該当しない旨を称する書類(宣誓書)※既存法人の場合
登記簿謄本と定款の写し
直近の賃借対照表
役員全員の名簿と履歴書※個人の場合
財産に関する調書
戸籍抄本
履歴書
※新規法人を立ち上げる場合
認証前の定款写し
発起人名簿と履歴書
株式出資状況及び見込みを記載した書類
貨物利用運送事業登録の手続きの流れと期間
必要書類を集めたり、書類作成に慣れていなければ2週間ほど提出までにかかると見ておきましょう。
必要書類の収集
書類の作成
申請書類の提出(管轄運輸支局)
審査(約2カ月~3ヵ月)
登録通知書の受領
登録免許税(9万円)の納付
運賃・料金を設定してから30日以内に運賃料金設定届出書を提出
営業開始
約4ヵ月ほどの長丁場となります。
スケジュールを逆算して手続きを進めましょう。
登録後の手続き
営業報告書・・・毎事業年度経過後100日以内
前年4月1日から3月31日までの期間に係る事業実績報告書
毎年必要となりますのでしっかりと準備しておきましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
貨物利用運送事業について理解できましたか?
貨物利用運送事業の登録については、詳しく書かれている書籍やホームページも少なく、ご自身で手続きを進めることは、多くの時間を要します。
また、書類に不備があり、再提出などになると何度も運輸局へ足を運ばなくてはなりません。
手続きにかける時間と、行政書士に依頼する場合の費用。
メリットのある方をお選びください。
ご依頼をご検討の方は、下記リンクより費用と手続きの流れをご確認ください。
合わせて下記記事もご確認ください。