運送業界に長くいらっしゃる方は、緑ナンバー車両の貸し借りなんて昔からよくやってる。
周りもやってるんだからいいでしょ?
そのように考えている方もいらっしゃるかもしれません。
運送業界は慢性的な人手不足、あるいは資金的な問題でトラックを確保できないということもあり、トラックの持ち込みなどでその場をしのいでいる会社も多いことは事実です。
しかし、緑ナンバー車両の貸し借りは、『名義貸し』という立派な違法行為となります。
では、どのような場合に名義貸しにあたるのか確認してみましょう。
運送業界の名義貸し(名義借り)問題
緑ナンバーを取得しなければ仕事を依頼できない。
荷主さんからそう言われることは珍しくありません。
しかし、緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業の許可)を取得するには、5台以上の車両や運行管理者、営業所や車庫などの厳しい要件があり、そう簡単にとれるものでもありませんよね。
そういった時に、手を出してしまいそうなのが名義借りです。
では実際にどのような内容なのでしょうか?
緑ナンバーの名義貸しとは?
Aさんは自己所有の大型トラックを所有していますが、1人で事業を行っているため緑ナンバーが取得できません。
そうすると大型トラックを利用して、依頼を受けて輸送することができませんよね?
ということで、Aさんは緑ナンバーを取得している知人のBさんに相談に行きました。
『Bさんとこでこの車を登録してくれないかな?』
『ナンバー借りる分いくらか使用料を払うから』
Aさんは緑ナンバーを取得出来て仕事ができる。
Bさんは何もしなくてもお金が入ってくる。
一見すると双方にとってメリットのある話のように思えます。
しかし、この行為は名義貸しと言いう立派な違法行為です。
一般貨物自動車運送事業者は、その名義を他人に一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業のため利用させてはならない。
名義を他人に利用させてはならない。
自社のドライバー以外に貸すなということですね。
常時選任運転者というやつです。
上記の例でいくと、BさんはAさんを雇用しているわけではありません。
Aさんは個人事業主です。
常時選任運転者に選任できる者は以下のように定められています。
貨物自動車運送事業輸送安全規則第三条2項
前項の規定により選任する運転者は、日々雇い入れられる者、二月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)であってはならない。
個人事業主はもちろんNGですし、日雇いや使用期間中の人も運転手として選任することはできませんね。
名義貸しの罰則
名義を貸した側にはどのような罰則が定められているのでしょうか?
貨物自動車運送事業法の70条で、以下のように定められています。
三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
重いですよね・・・。
ちょっとお小遣い稼ぎをする為にこのペナルティ。
上記+行政処分として事業停止ももれなくついてきます。
ここまでのリスクを冒してまで、名義を貸すメリットはあるのでしょうか?
名義を借りた側の罰則
名義を借りた側ももちろんペナルティがあります。
三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一緒ですね。借りた側は無許可営業としての罰則です。
この罰則を受けてしまうと欠格事由に該当する為、5年間は新規許可取得ができません。
運送業で稼ぐために緑ナンバーを借りたのに、それが原因で緑ナンバーを取得できなくなってしまう。
名義貸しは絶対にやめましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
緑ナンバーを貸し借りするリスクは理解できましたでしょうか?
運送業を始めるのであれば、適法に業務を行う為にも一般貨物自動車運送事業許可を取得しましょう。
『自分でも緑ナンバーが取得できるのか知りたい!』
『すぐにでもな緑ナンバー取得の手続きをして欲しい!』
そのような場合はお気軽にお問い合わせください。
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