ここでは、緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業の許可)をどのようにして取るのか、その手順をわかりやすくご説明します。
これから緑ナンバーを取得して、運送業で稼ぎたい方はお読みください。
サッと読んでざっくりと営業開始までの流れを理解することが目的ですので、肩の力を抜いてお読みください。
緑ナンバーの取得には、実際やってみるとわかるのですが、膨大な量の書類作成と車庫や営業所の図面作成など、忍耐力との勝負です。おまけに法改正も多く、この物件は前も運送会社だったし大丈夫だと不動産屋さんに言われて契約したはいいが、実は許可取れませんでした!なんてことにもなりかねません。
ご自分で書類を作成しようと考えている方は、まずはこのサイトで全体像を学びましょう。
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緑ナンバーを取得する為に必要な10の手順
①要件チェック&調査
緑ナンバーを取得する為には、一般貨物自動車運送事業の許可が必要となります。
許可を取得する為には、まず下記の4つの観点から要件をチェックする必要があります。
『人・車両・資金・場所』
人
簡単にざっくり説明すると、まず人の要件で注意すべきなのは、過去の過ちです。
・以前に運送業を経営していたが許可が取り消された
・悪いことしちゃって警察のお世話になった
上記に該当する場合は、いつ頃の話なのかゆっくり思い出しましょう。
2年以上(2019年11月以降は5年)経過していなれば、許可は取得できません。
時が過ぎるのを待ちましょう。
あとは、ドライバーの最低人数は5人(原則)運行管理者の資格、整備管理者(整備士資格か要件を満たして研修参加)を押さえておけば大丈夫でしょう。
車両
車に関しては、トラックならほぼOK。普通車を使用する場合は、まず車検証の種別が『貨物』になっているのか確認します。自家用となっていれば貨物に仕様変更しましょう。
押さえるべきポイントは、最低台数。
最低5台必要(原則)
自己所有でもリースでも構いませんし、許可取得までに用意すれば問題ありません。
資金
資金に関しては、資金計画表を運輸局に提出する必要がありますので、自己資金が資金計画表の金額を下回っている場合には許可は取得できません。
資金計画表の内容をここで説明すると長くなりますので、最低必要になるであろう金額をお伝えさせていただきます。
約600万円~
※上記の金額は、最低台数・最低人数・最低経費で計算した概算です。
事業規模によりもちろん大幅に変動しますし、2019年11月からはこの金額の2.5倍以上の資金要件となります。
この資産の証明は、金融機関から取得した『残高証明書』を運輸支局へ提出します。
また、他の事業をされている方であれば、預貯金以外にも売掛金などの流動資産も含めることができますので、しっかりと資金計画を立てましょう。
場所
営業所と車庫の場所ですね。
まずは、用途地域を確認してみましょう。
商業系・工業系ならOK
住居系の用途地域であれば、要確認(できれば避けたい)
また、市街化調整区域の場合、原則として一般貨物自動車運送事業の許可は取得できません。
また、営業所と車庫の距離要件もありますので、あまりに離れすぎたところに車庫を置くのは止めましょう。
運輸支局にもよりますが、営業所と車庫の距離が5キロ、または10キロ以内でなければならないので要確認です。
要件に関してざっくりと説明しましたが、更に詳しく知りたい方は下記リンクをご覧ください。
緑ナンバー取得の要件と手続きの流れ|行政書士によるまるわかり完全ガイド
②営業所と車庫の確保
一通りチェックして大丈夫であれば、営業所と車庫を押さえておきましょう。
ちなみに農地である場合には、農地転用の必要がありますので、できれば農地は避けた方が賢明です。
③人員の確保
許可取得までに採用予定であれば問題ありませんが、運行管理者や整備管理者等の資格が必要なポジションは、最初から確保しておく方がいいです。
許可取得までに試験に合格するという方もいらっしゃいますが、万が一試験に落ちた場合、かなり焦ることになります。
ドライバー 5人
運行管理者 1名
整備管理者 1名(兼務可)
④トラック(車両)の確保
許可の取得には、最低5台(原則)の車両が必要となります。
許可取得までに揃えておきましょう。
⑤一般貨物自動車運送事業の許可申請書類の作成
①経営許可申請書
②事業用自動車の運行管理の体制を記載した書類
③資金に関する書面
所要資金及び調達方法を記載した書類
自己資金の確保を裏付ける書面
④事業の用に供する施設の概要及び付近の状況を記載した書類
1.案内図、見取り図、平面図
2.都市計画法等関係法令に抵触しないことの書面(宣誓書)
3.施設の使用権原を証する書面
自己所有・・・不動産登記簿謄本
借入・・・・・賃貸借契約書、使用承諾書等
4.車庫前面道路の幅員証明書(前面道路が国道の場合は不要)
5.計画する事業用自動車の使用権原を証する書面
車両購入・・・売買契約書または売渡承諾書等
リース・・・・賃貸借契約書等
自己所有・・・自動車検査証の写し
⑤貨物自動車利用運送を行なう場合
1.営業所の使用権原を証する書面
自己所有・・・不動産登記簿謄本
借入・・・・・賃貸借契約書、使用承諾書等
2.貨物の保管体制を必要とする場合は、保管施設の面積、構造及び付属施設を記載した書面
3.利用する事業者との運送に関する契約書の写し
⑥既存法人の場合
1.会社の定款及び登記簿の謄本
2.直近の事業年度における貸借対照表
3.役員の名簿及び履歴書
⑦新設法人の場合
1.定款の謄本
2.発起人の名簿及び履歴書
3.株式の引受書
⑧個人の場合
1.資産目録
2.戸籍謄本
3.履歴書
⑨欠格事由に該当しない旨の書面(宣誓書)
結構多いですよね。
自分ですべて作成する場合、1週間~2週間は計算しておいた方がいいでしょう。
⑥申請書類の提出
申請書類を管轄の運輸支局に提出します。
これで、まずはひと段落です。
補正があれば対応し、人員を許可までに確保しましょう。
⑦役員の法令試験
申請書類提出後、奇数月に役員法令試験を受験します。
※もし、1回目の試験で不合格だったとしても、2回目で合格すれば問題ありません。
しかし、2回目の試験でも点数が足りず不合格の場合、許可申請を取り消さなければならなくなるので要注意です。
約30~50%の合格率となりますが、しっかりと勉強すれば問題ない試験です。
事業の為に頑張りましょう!
⑧念願の許可取得(申請から3~5か月後)
念願の許可取得おめでとうございます!
しかし、まだ手続きは終わりではありません。
登録免許税12万円の納付
運行管理者と整備管理者の選任届を提出
運輸開始前届けの提出(社会保険に加入してないといけません)
事業用自動車等連絡書を運輸支局で発行
⑧車両の登録
事業用自動車等連絡書と車検証や委任状などを用意して車検証を書き換えます。
緑ナンバーを付けましょう!
⑨運輸開始届を提出
緑ナンバーに車検証を書き換えた後に、運輸局で運輸開始届・料金運賃設定届出を提出します。
営業開始です!
⑩巡回指導
運輸開始届の提出後、3ヵ月~6ヶ月月後を目安巡回指導が行われます。
この事業者は、しっかりと帳票類の管理ができているのか。
違法な労働を強いてはいないか?などの監査ですね。
ここで評価が悪すぎると、行政処分の対象となりますので注意しましょう。
まとめ
以上で一般貨物自動車運送事業の許可手続きは終了です。
簡単にざっくりわけると、上記の10の行程を経て緑ナンバーを取得できるわけですね。
読んでいただければ、なんとなくわかるかもしれませんが、上記の行程を自分一人で管理し、完結させることはかなりの労力を要します。ぶっちゃけ、手続きに追われて本業の準備がおろそかになる可能性が高いです。
それよりは、最初から手続きは外注して、最速で許可を取得し、自分の事業に100%の力を注ぐ方がいいでしょう。
一般貨物自動車運送事業の許可は、行政書士の中でも難易度が高く、専門としての知識を持っている行政書士は多くありません。
もし外注をご検討であれば、専門の行政書士に依頼することをお勧めします。