他人の依頼により、有償で貨物を運搬する為には緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業の許可)が必要となります。これは、積載車で事故車を運搬するロードサービスであってももちろん対象です。
※レッカー車の場合は積載しないので許可は必要ありません。
白ナンバーで有償運送を行っている事業者もたまに聞きますが、だいたいは無許可営業(白タクのような状態ですね)有償運送許可で行っている場合がほとんどでしょう。
有償運送許可の場合は、緑ナンバーを取得するよりも条件がかなり緩くなりますし、取得はそれほど難しくはありませんが、使用用途や範囲が非常に限定されるため、ロードサービスを事業として行う為には緑ナンバーを取得する必要があると考えておいた方がよいでしょう。
このサイトでは、ロードサービス事業者が緑ナンバーを取得する為の、整備すべき要件・手続きについて分かりやすくまとめました。
コンテンツ
ロードサービス事業で緑ナンバーを取得
それではまずはロードサービス事業者が、緑ナンバーを取得する為に避けては通れない許可要件を確認していきましょう。
一般貨物自動車運送事業の許可には大きく分けて5つの要件があります。
残念ながらどれか1つでも欠けていると許可を取得することはできません。
①人
②資格
③資金
④場所
⑤車両
このページでは一般貨物自動車運送事業許可の全体像をわかりやすく伝えるためのページですので,各要件の詳細は省きます。
まずは、イメージがしやすいように各要件をざっくりと解説していきます。
①人の要件|だれでも許可は取れないの?
一般貨物自動車運送事業許可では最低人数が許可要件として定められています。
最低人数は6人
(ドライバー5名+管理者1名)
多い分にはいいですが、下回ると許可を取得することはできません。
そして、欠格事由に該当する場合も同様に許可を取得することはできません。
1年以上の懲役または禁錮以上の刑をうけてから5年を経過していない
一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消から5年を経過していない。
未成年者または成年被後見人であって、その法定代理人が上記2つのいずれにも該当していない。
運送業許可を受けようとする者と密接な関係のある者が、一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送
事業の許可取消を受けてから5年を経過していない者
運送業許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消の処分に係る聴聞の通知が到達した日から処分をする日またはしないことを決定する日までの間に事業の廃止の届出をしてから5年を経過しない者
運送業許可を受けようとする者が、事業場への立ち入り検査が行われた日から聴聞決定予定日までの間に事業の廃止の届出をしてから5年を経過しない者
※個人事業主の場合は事業主、法人の場合は役員全員が以下のすべてに該当しなければ欠格事由に当たらないことなります。
最低限今はこの辺を押さえておきましょう。
②必要な資格|運行管理者と整備管理者
一般貨物自動車運送事業の許可を取得する為には、必ず国家資格である運行管理者必要となります。
ドライバーが安全に走行する為、健康管理や道路状況の確認など重大なポジションですね。
ではどうすれば資格を取得できるのでしょうか?
①運行管理者試験に合格
②実務経験5年以上と講習を受講して要件を備えること
毎年3月と8月に行われるので、計画的に勉強しましょう。
そして、整備管理者。
こちらは、ロードサービス事業者であれば難易度は高くありませんね。
人の要件に関しての詳細は下記記事を参考にしましょう。
③資金の要件|いくらあればいいの?
一般貨物自動車運送事業の許可要件の1つに資金が定められています。
2019年に貨物自動車運送事業法が改正され、資金要件は大幅に厳しくなりました。
いくらあればいいのか?
実際に最低いくら以上と決まっているわけではありません。
役員報酬や賃金、車庫や事務所の賃料などを計算して経営計画を作成します。
状況にもよりますが、改正前と比較して約2.5倍。だいたい2000万以上の初期資金が必要となります。
融資制度などをうまく活用して計画しましょう。
超重要な資金計画の試算方法や要件については下記リンクをご確認ください。
一般貨物自動車運送事業許可を取得するには〇〇〇円以上必要!?|気になるポイント大公開
④場所の要件|営業所と車庫が必要
事務所の存在しない会社など存在しないように、もちろん運送会社も営業所を必要とします。
そして、通常の会社と違うのは休憩室(必用な場合は睡眠施設)や駐車場(車庫)も必ず確保しなければ許可を取得することができません。
農地法や都市計画法、建築基準法の知識が必要となります。
せっかく広い場所がみつかったのに、市街化調整区域で許可が取得できなかった・・・
そんなことも全然あり得ます。
不動産屋さんや行政書士などの専門家と連携して抜け目なく進めましょう。
施設要件に関しての詳細は下記リンクを参考にしてください。
⑤車両の要件
もちろん車両に対する要件も定められています。
・事業用車両を5台以上確保又は確保予定であること
・使用する権利があること
・大きさ・構造などが輸送する貨物に適切であること
最低限この3つは押さえておきましょう。
ロードサービス事業者が一番難しく感じるのはここですね。
知っておいて欲しいのは、積載車を5台用意しなければならないわけではありません。
積載車1台+貨物用の乗用車4台でもいいわけです。
営業に必要な車両を吟味しましょう。
運送業許可を申請|日程と流れを確認
運送業許可の要件は理解できましたでしょうか?
もし要件をクリアできそうであれば,新規許可申請の流れを確認しましょう。
事業計画を立てるためにもスケジュール管理は大切です。
運送業許可の流れ
①地方運輸局へ申請書の提出
②法令試験【超重要】
申請月以降の奇数月に実施。
8割以上で合格。
もし基準点に満たない場合は翌々月に一回だけ再受験
それでも不合格であれば、非常に心苦しいですが運送業許可申請は取り下げなければなりません・・・
合格率は地域ごとに違いますがおよそ30%~50%
合格率を見ると難関に見えますが、しっかりとポイントを押さえてしっかりと勉強すれば合格は可能でしょう。
③2度目の残高証明書を提出
申請時に提出した残高証明書から残高が下回っていないかの確認です。
安全な運営確保の為にも資金はしっかり確認されます。
④許可を取得
申請から約3~4ヵ月後に許可がおります。
その後・・・
・支局で開催される許可証の交付式に参加
・新規許可業者講習会に参加
・許可後1ヵ月以内に登録免許税(12万円)の納付
⑤運行管理者・整備管理者選任届けを提出
⑥社会保険・労働保険の加入
⑦運輸開始前届けの提出
受理後、事業用自動車等連絡書が発行されます。
⑧車検証の書き換え・ナンバー取り換え
⑨運輸開始届出・運賃料金設定届の提出
⑩トラック協会適正化指導員による初回指導
運輸開始届提出後、3カ月以内に巡回指導が行われます。
帳票類をしっかりまとめておきましょう。
以上で新規許可申請は終了です。
まとめ
いかがでしょうか?
一般貨物自動車運送事業許可について理解できましたか?
近年コンプライアンスが重視され、保険会社も緑ナンバーを取得していない事業者へは依頼をしないケースも増えています。
代車などもレンタカー許可なければ満額もらえませんもんね。
しかし、一度許可を取得してしまえば競合との間で優位になることも事実です。
緑ナンバー取得を検討してみてはいかがでしょうか?
当事務所では、緑ナンバー・レンタカー許可取得のサポートをさせていただいております。
是非ご依頼ください。