あなたは今、整備士の国家資格を取得し自動車整備業を始めようと考えている。あるいは、中古車の販売業を営んでいるが、顧客からの要望もあり整備工場を併設しようと考えているのではないでしょうか?
自動車整備業は、自動車が支障なく道路を走行する為に点検し、必要があれば分解し、メンテナンスや修理を行うためになくてはならない業種です。
それでは、整備工場を営むためにはどのような許可を取得すればいいのでしょうか?
誰でも整備工場を開業できてしまっては、整備不良の車ばかりになってしまいお国も困りますよね。
なので能力を担保する為にも、自動車分解整備事業を始めるには地方運輸局長の認証を受けることが必要となっています。
いわゆる《認証工場》というやつですね。
認証工場となる為には、いくつかの要件を満たさなければなりません。
この記事では、『分解整備業の種類』『認証手続きの流れ』『認証の要件』を車の手続きの専門行政書士がわかりやすく解説します。
では早速確認しましょう!
コンテンツ
自動車分解整備事業とは?
自動車分解整備事業とはなにかざっくり言うと、自動車を分解して何かしらの整備を行う事業です。
例えば車検に車を持っていき、不良個所が見つかれば分解して整備してもらいますよね?
分解して整備するので『分解整備業』です。
タイヤ交換やオイル交換などのあまり専門知識の必要ない整備であれば、整備士の国家資格は必要ありませんが、エンジンなどの重要部分の整備は国家資格者である整備士でなければ行えません。
お医者さんで例えると、いくら知識のあるモグリの名医がいても、普通の感覚の人であれば国家資格を持ったお医者さんに見てもらいますよね?
そんな感じです。
つまり、自動車分解整備事業を営むには『自動車整備士の資格者』が必要となります。
それでは、自動車分解整備事業を営むにはどのような許認可が必要となるのでしょうか?
自動車分解整備事業の許認可
根拠法令
細かく言えば、許可ではなく認可ですね。
自動車分解整備事業認証の種類
自動車分解整備事業の認証には、取り扱う自動車により、作業面積の要件などが増減します。
大きく分けると、3種類。
①普通自動車分解整備事業
普通自動車(大型)
普通自動車のうち車両総重量が8t以上のもの、最大積載量が5t以上のもの又は乗車定員が30人以上のもの
普通自動車(中型)
普通自動車のうち最大積載量が2tを越えるもの又は乗車定員11人以上のものであって、普通自動車(大型)以外のもの
普通自動車(小型)
普通自動車のうち貨物の運送の用に供するもの又は特種の用途に供するものであって、普通自動車(大型、中型)以外のもの
普通自動車(乗用)
普通自動車のうち普通自動車(大型、中型、小型)以外のもの
小型四輪自動車
四輪自動車
大型特殊自動車
②小型自動車分解整備事業
小型四輪自動車
小型二輪自動車
小型三輪自動車
軽自動車
③軽自動車分解整備事業
軽自動車
※自動車分解整備事業の認証取得後に分解整備の対象とする自動車の種類又 は、対象装置を追加することもできます。
自動車分解整備事業認証の施設要件
①施設の面積
自動車分解整備事業の認証を受けるためには、施設の広さに関しての要件があります。
コチラに関しては、あなたが扱う車両の種類、整備を行う装置の種類により細かく定められていますので普通車を例にして解説します。
大阪府
普通乗用車
車両整備作業場(4m×6m以上)
部品整備作業場(5㎡以上)
点検作業場(4m×6m以上)
詳しい数値を知りたい方は、管轄の運輸支局のホームページから手引きをダウンロードしてください。
②用途地域(大阪府の場合)
準住居地域・近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域
上記の様と地域であればほぼ問題はありません。
※準住居地域は床面積150㎡以内、近隣商業地域・商業地域は300㎡以内
住居系の用途地域は原則として使用できません。
自動車分解整備事業の認証|人の要件
①必要な資格
一級又は二級の自動車整備士の技能検定に合格した者。
②必要な人員
事業場には、二人以上の分解整備に従事する従業員(工員)を有すること。
※従業員が多数いる場合、3級以上の整備士を4分の1以上おかなければなりません。
③欠格事由に該当しないこと
① 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を 受けることがなくなった日から2年を経過しない者。
② 認証の取り消しを受け、その取り消しの日から2年を経過しない者。
③ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は成年被後見人で あって、その法定代理人が①又は②のいずれかに該当するもの。
④ 法人であって、その役員のうちに①、②又は③のいずれかに該当する者が あるもの。
要件に関しては、この辺りを押さえておけばいいでしょう。
自動車分解整備事業の認証に必要な書類を解説
管轄の運輸局により、必要書類の増減があります。
近畿運輸局を例にして解説します。
(1) 自動車分解整備事業の認証新規申請書
(2) 整備主任者選任届
(3) 自動車整備士合格証書等の写し
(4) 一酸化炭素及び炭化水素測定器に係る技術上の基準に適合していることを 証する書面
[CO・HC テスターが必要な事業場に限ります]
(5) 申請者が個人の場合、住民票等申請者を特定できる書面
(6) 申請者が法人の場合、商業登記簿謄本等申請者及び役員を特定できる書面
(7) 事業場の建築確認、不動産登記簿の謄本等所在を証する書面 (住居表示確 認書を含む)
(8) 道路運送車両法第 80 条第1項第2号の確認・証明印
(9) 従業員名簿
(10)事業場の写真
(11)事業場(整備工場)の住居表示番号についての確認書
(12)賃貸借契約書・使用承諾書等の使用権原を証明する書類
(13)事業場平面図
上記書類を作成して、運輸局へ提出します。
一番の難関は平面図かもしれませんね。
運輸局の手引きに参考図がありますので、頑張って作成するか、行政書士などの専門家に依頼しましょう。
自動車分解整備事業と回送運行許可
回送運行許可(ディーラーナンバー)は分解整備事業でも取得することができます。
車検切れの車両を車検場まで運ぶ際など、非常に重宝致しますので検討してみましょう。
下記リンクに詳細をまとめていますのでご覧ください。
まとめ
いかがでしょうか?
認証工場について知りたい情報を得ることはできましたか?
認証を受けてからの業種追加や、指定工場の認証など、まだまだ知っておくべき情報はたくさんありますが、今回は自動車分解整備事業の認証の全体像について記載しました。
認証工場を始めたい方はお気軽にお問い合わせください。