もし,あなたが運送業許可(一般貨物自動車運送事業の許可)を取得することを考えているのであれば,まず一番に確認しておくべきことがあります。
自分又は会社が一般貨物自動車運送事業の許可要件を満たしている,もしくは満たすことができるかどうかです。
ご存じの通り,運送業を始めるには許可が必要です。
しかし,どんな要件を満たせばいいんだろう?といざ役所へ行っても,説明されている意味がわからない。なにがわからないのかわからない。そんな声も多く聴こえます。
そう思ってもしょうがないほど,運送業の許可要件は分かりにくい。
ただし,ポイントさえ押さえて要件を満たしておけば,問題なく許可を取得することができるのも事実です。
この記事では,運送業を開業するのに必要な『人の要件』に関して,詳細までわかりやすくまとめています。
あなたが要件を満たしているのかどうか?
あるいは,満たすことができるのかどうか?
まずは,確認してみましょう。
運送業許可|人の要件を徹底チェック
大きな事故がニュースになったこともあり,運送業を運営していく上で適切な運行管理体制が求められています。
ここでは一般貨物自動車運送事業の人の要件に関して具体的に解説していきますので,しっかりと確認しておきましょう。
運送業の許可における『人の要件』
①欠格事由に該当しないこと
②運行管理体制を整えること
それでは順に確認していきましょう。
運送業許可の欠格事由を確認しよう
この欠格事由に該当する場合には,そもそも許可を取得することができません。
確認せずに車両や物件の準備を進めていると,いざ申請の時に欠格事由に該当していて結局許可が取れないなんてこともありますので,まずは該当していないか確認しましょう。
欠格事由は貨物自動車運送事業法の5条に定められています。
第五条 次の各号のいずれかに該当する者は、第三条の許可を受けることができない。
二 一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から5年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条第一項の通知が到達した日(同条第三項により通知が到達したものとみなされた日を含む。)をいう。)前六十日以内にその法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。第四号において同じ。)であった者で当該取消しの日から5年を経過しないものを含む。)
三 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人であって、その法定代理人が前二号又は次号のいずれかに該当するもの
四 法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの
※既に許可を受けている場合で、本人(法人の場合は法人の役員)が上記に該当した場合は、許可の取消処分となります。
※役員とは、登記上役員(取締役、監査役)になっている者だけでなく、役員と同等以上の職権又は支配力を有する者も含みます。
簡単に言うと,5年以内に禁固刑や懲役などの悪いことををして捕まっている,あるいは許可が取り消されてから5年たっていないとダメです。
もし自分が該当しているか分からない場合は,早めに行政書士などの専門家を頼りましょう。
運行管理体制を整えよう
運行管理者の確保
運行管理者は各営業所に1名以上必要になります。
厳密に言うと,事業用車両の数により最低人数は変動するので要注意です。
~29台まで 最低1名
30~59台 最低2名
60~89台 最低3名
上記のように30台ごとに最低人数が増えていきます。
運送業界で働いたことがある人間ならわかると思いますが,運行管理者は国家資格が必要となります。
難易度はそれほど高くはありませんが,まじめに勉強しなければ受かることができず,運行管理者を確保することは思いのほか難しい要件となっています。
では運行管理者試験について,詳細を見てみましょう。
運行管理者試験の概要をわかりやすく解説
受験資格《下記のいずれかが必要》
運行の管理に関して1年以上の実務経験を有する者
実務の経験に代わる講習を修了した者
試験科目
道路運送法、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、労働基準法などの法令等並びに運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識及び能力について出題
ほとんどの方は上記の運行管理者試験に合格して運行管理者となりますが,もう一つ運行管理者になる方法があります。
事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の実務の経験その他の要件を備えること。
事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していること等の要件を満たすこと。
上記の方法は5年以上の実務経験が必要となる為,普通に勉強して運行管理者となる方がかなり早いです。
合格率は30%前後と狭き門に見えますが,しっかりとポイントを押さえれば合格できる内容となっていますのでしっかりと勉強しましょう。
ドライバーは5人以上必要
配置するドライバーの数は、5人以上が必要となります。
この5名以上というのは,車両の数に応じて必要ということになります。
運送業許可の車両要件に車両が5台以上必要とされているので,5人以上最低人数が必要ということです。
トラックだけ用意できても運転する人がいなければ,通常の業務を行うことはできませんもんね。
日雇い労働や短期アルバイトなどの臨時ドライバーは人数には含まれず,雇い入れしておかなければなりません。
人材派遣であっても,長期雇用であれば問題ありません。
また,許可申請の際には,雇用予定という形でも申請は可能です。
※ドライバーは運行管理者との兼任はできませんので注意が必要です。
最低限運送業に必要な人数は,運行管理者1人+ドライバー5人となります。
整備管理者の選任
営業所毎に整備管理者を1名配置しなければなりません。
整備管理者はドライバーとの兼務も可能です。
整備管理者になる為の要件は下記のようになります。
一級,二級又は三級の自動車整備士技能検定に合格した者
過去2年以上の運転者経験を証明でき,かつ整備管理者選任前研修を修了した者
ドライバーと同様,申請の際に整備管理者を確保出来なくても,確保予定として許可申請は可能です。
運送業の社会保険加入は義務なの?
運送業の許可を取得するには,社会保険への加入が必要となります。
個人事業の場合5名以下であれば社会保険加入義務はありませんが,運送業の許可を取得するには最低5名以上の社員を雇う必要がありますので,個人でも法人でも社会保険加入は必須です。
運輸開始の届出時に加入状況を報告する必要がありますので,加入は義務だと考えましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
運送業の許可に必要な人の要件を理解できましたか?
運送業界では高齢化も進み,若手のドライバーや管理者の育成は業界全体の課題です。
許可を通す為だけに,頭数を揃えるのではなく,後々の育成計画も考えたうえで採用しましょう。
運送業にとって若い人が辞めない会社を作ることは,非常に大きな武器となります。
運送業許可の他の要件や全体像に関しては下記記事を参考にしましょう。